一から十まで
胡桃:ふふん、それはね…。とある一人の旅人が、彼女の仲間と二人、色々な国を旅してまわり、三四の友と出逢い、五つの湖と六つの海を越え、七転び八起きに九死に十生を得て…
ウェンティ:近ごろ、石門中で美味しいお酒とおつまみが話題でね。急遽みんなで、八杯、七献とお酒を飲んで、六句詩を五つ書くことにしたんだ。四方を巡ってきた君に、是非この三言二言から、一発でどんなイベントが当てて欲しいんだ。
開会の口上
ウェンティ:風は詩歌と音符を携え、見知らぬ国へと吹き込んだ。
胡桃:水の中には魚が二匹、お腹いっぱい食べたとさ。
ウェンティ:風晶蝶は金の羽衣、琉璃に小さな明かりを灯す。
胡桃:米粒さらったヤマガラ去った、イノシシ根っこを掘り出した。
一つ目の詩の謎解き
「遥々たる故郷を偲び、艶々たる花は満ちる。客人問へば応へて曰く、夢を尋ねて九天へ往く。」
“A tender sigh for home, how far the flowers roam. A visitor asks me ‘why’: For a dream beyond the sky.”
答えは「蒲公英」かもしれない。
行秋の詩の謎解き
「かくかく四角で切り餅みたい、ゴマとか胡椒が入ってる。一粒一粒口にしたなら、食べた数だけお利口になる。」
“I have four corners like a square pancake, but I’m stuffed and seasoned and carefully baked. I pass through the lips one piece at a time, the more you consume, the broader your mind.”
答えは「本」。
三つ目の詩の謎解き
「体は小さくて四本足、草を食べないし水も飲まない。お客が来ても無表情、一日中人を運んでも疲れない。」
“On four long legs my slim body sits, I eat not a bite and drink not a sip. With a passionless face I greet countless guests, whom I carry all day without needing to rest.”
答えは「椅子」かもしれない。
パイモンの詩の謎解き
「空は飛べても翼は持たず、浮いてる間は疲れ知らず。お腹はモラでパンパンで、海に落ちたらゴボゴボ拾えないもの、なーんだ。」
“What’s got no wings but flies in the air, never got tired of floating up there, so full of Mora it comes out the nose, but in the sea glug glug glug down it goes!”
答えは「群玉閣」。
カロリエーの詩の謎解き
「万尋の高き雲より上、郁郁たる凄雪の中、孤独の寒地にひとり佇む。聖賢みな、清貧なり。」
“High above the wispy clouds, amidst the gloomy snow-filled shroud, standing alone on an icy stage, beneath it every lowly sage.”
答えは「清心」。
行秋の詩の謎解き・重雲が遭遇した怪異
「妖のようで妖ではなく、魔のようで魔ではない。眺望すれば揺蕩う如く拠り所なく、寄りては忽ちに失せて影も無し。」
“Twas like a demon not demonic, or devil devoid of the diabolic. Afar it floated free above the ground, but when approached, though sought, nought could be found.”
落ち葉に書かれた詩(カリロエー作・1)
あの夜の星空は花畑の香り、
星粒が蜂の如き、
美酒と夢を啄んでいた。
あの夜の二人は初々しい露、
月光は蜜の如き、
泉の傍で唇を濡らした。
けれども私はあなたを離れ、
心の底に詩句を隠して。
それからは、
星々はもう瞬かず、月光は氷のように鋭い。
例え水の下に隠れても、
あなたが泉にこぼす涙からは逃れられない。
葉に書かれた返事の詩(旅人作)
蛍光は闇夜に消えず、
堅石は水に流れず、
言葉まだあり、心変わらねば、
小さき決意は天地世界にも抗える。
蜜の如く月光に再び抱かれんことを。
Amidst the dark, fireflies aglow,
Pebbles unmoved by the stream’s flow,
If words yet remain, and love holds to the last,
Against the world can the small stand fast.
In honeyed moonlight may you once more bask.
対句
行秋「新月軒の個室に入りて、江湖百味を喫する。」
重雲「古城垣の涼亭を出て、雷光千本を目する。」
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重雲「志に明蘊あり、軽策に隠れ、眼下に絶雲を臨む。」
ノエル「徳は石珀の如し。霓裳を纏い、胸中に琉璃を秘める。」
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カリロエー「上は華光の霧海から、下は湿原の萩洲まで、ただ、かにみそ豆腐を一皿求めて。」
旅人「北は星落としの岸から、南は風吹く野原まで、さらに、ミントベリージュースを二杯加えて。」
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カリロエー「『清心』に心はなくても、それは人々の心を癒す。」
旅人「『夢』は夢でなくとも、浮生の夢に安らぎをくれる。」
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行秋「天に月あり、月満ちれば、家族も喜びに満ちる。」
胡桃「地に飯あり、椀に装えば、お腹も肉で満ちる!」
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行秋「瓊璣八百里、萩花に問う、いづくにか帰離ならんや。」
胡桃「キノシシ二十斤、鍋に怒る、いづれにや入らむ。」
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ディオナ「ドドリアン、ドドコよりほろ苦い!」
ミカ「ボンボン爆弾、ボムボムウリよりやかましい!」
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ノエル「焚き火ぱちぱち、炉暖かくしてお茶香ばしく、胸に抱くは清泉の心。」
パイモン「雷雨ゴロゴロ、剣冷たくして心痛まず、叩きのめすは狂風のコア!」
落ち葉に書かれた詩(カロリエー作・2)
変わらぬ心も時に洗われ。
泉に佇む少年も、髪は白くなり、腰は曲がっていた。
渓流と夢想が同じ海へと流れ込んでようやく、
我々は尽きることのない詩篇の中で手を取り合える。
清泉の心
遥か彼方より来りし我は
山河を褥に
四季で粧う
拠り所となる花園探し
銀砂の月光
共に漂う
歩みを止めよ 風と清泉が囁いた
「休みましょう」
「あなたは旅路に疲れている」
「揺蕩いましょう」
「あなたに楽花を飾ってあげる」
朝は渓流に石琴を奏で
夜は夢路に歌吹を聴く
少年の涙がさざ波となり
星のもと 如何なる歌声より甘美に響く
彼は過去と未来を万彩の花冠に織り
我はその褒賞に
夢の境界を融かす
「見よ その目から溢れ出でる愛慕を」
「応えよう 夢の覚めぬ間に」
猫とホタルが我を急かすも
人のしらべを解さぬ我が
いかにそれと調和できよう
渓流と夢想が海へと流れ
晶蝶が水面を突く須臾に
星河のもと
少年の髪筋は白くなる
我は蹌踉としつつも 人の一切を学び
もろい雲をつなげ柔らかな詩にした
種は土に憧れ
木々は太陽を追いかける
かつての曖昧だったしらべが心に流れる
聴けばそれは
ずっとあなたの名を呼んでいたのだ
我が夢を
あなたに
あなたの夜が清泉のように甘美であるように
我が心を
あなたに
この遅れてきた約束を
どうか 受け取って
Far from my native land I roamed
In streams I slept
Many seasons I met as the suns set and rose
I searched for a garden to call a home
And the moonlight ebbed as the water flowed
A soft breeze beckoned me unto a spring
“Sleep, weary wanderer, your journey is over”
“May the dancing petals sweeten your slumber”
At dawn I hummed the melody of a distant stream
And the songs in the night serenaded my dreams
A boy’s tender tears trembled through the water
Stirring me more than any starlight sonata
He wove me a wreath from past petals and future buds
I crossed beyond the veil of dreams to the realm of fresh and blood
“Look at the love that shines from his eager gaze”
“Answer the call of his heart, lest this moment to go waste”
The kittens and fireflies invited my heartstrings to sing
But I was a stranger to the melody of mankind
And knew not how this tune should begin
As the river of dreams trickled into the ocean blue
Every time a crystalfly flapped its wings
Older it seemed he grew
But I learned to fathom human ways each stumbling step I took
And clouds of confusion became crystal clear in the vulnerable verse I wrote
As seed yearns for soil, and trees for the sun
A once-foreign melody inside my heart sung
And it cried out your name on every string it could strum
Now, I give my dream to you
May it be in your slumber a sweet spring to quench your thirst
Now, I hand my heart to you
Praying my belated promise might meet
Still with your trust
誰かが置き去った詩(魈作)
老いせぬ身、彷徨う千年。
尽きもせず、燻る未練。
遠き山、底なき深淵。
現し世に、また会う奇縁。
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