アーシアの会話
キャラバン宿駅を出て西側の砂漠に向かえば、よほど変な道を選ばない限り、アアル村を通るはずだ。
生活は簡素でな。伝統的な縛りもあるが、小さい村特有の平穏さを味わえるから、まあ、俺は好きだな。
村のみんなはとても友好的だ。迷子の冒険者だろうが、追放された学者だろうが、引き取って世話してやるぞ。
──もちろん、大前提は、お前が村に悪意を抱いてないことだ。さもなければ、キャンディスの怒りをその身をもって味わう羽目になる。
バハラカの会話
とりあえず今の小さな目標は…「アアル村を出てすぐ、迷子にならないこと」にしよう。村のお姉さんは優しいけど、いつも迷惑をかけてしまっては気が済まないからね…
(お姉さん?)
ええ、私が砂漠で迷子になってた時に出会ったいい人よ。
初めて出会った時、汚れ切ってたせいか、私が緑色の冒険者の制服を着ていることに彼女は気付かなかったのよ。でも状況を説明したら、私を村に連れ帰って、水と食べ物も用意してくれたの。
その後も…えへへ、何回もお世話になったわ。
だから、砂漠で危険な目にあったら、すぐアアル村に行って助けを求めるのがいいわ。
あのお姉さん、両目の色が違うから、見ればすぐにわかるはず。
調度品・砂域の家屋-「きっさき隠し」
アアル村における「ガーディアン」の選抜儀式では、「倉庫にある最も大きくて重い武器を全力で投げた距離が、前任ガーディアンの記録より遠くなる必要がある」という決まりが存在する。当時、八歳にも満たなかった異色の瞳を持つ守衛が、人々に囲まれて倉庫のドアを開けると、そこには壁にもたれているあまりにも大きなサイズの槍があった。木製の床はその重量によって凹んでしまい、その矛先は天井まで届いてしまいそうだった。
パワーを鍛えるための道具なのか、人の目を引いて芝居するための道具なのか、それとも試練に参加する者をわざと困らせるための障害なのか…その場にいた当事者たちに、深く考える時間は与えられなかった。
異色の瞳を持つ守衛は構わないと言って、いつものよう軽々と槍を持ち上げて外に出た。その槍を易々と遠くへ投げると…その距離はちょうど、前任者の記録より半歩遠かった。
それからというもの、些か頑固な前任「ガーディアン」は二度と、異色の瞳を持つ守衛に文句を言うことはなかった。異色の瞳を持つ守衛が、試練をクリアした後も槍の由来を追求せず、冷静かつ優しく彼らに微笑んだからであろうか…
調度品・砂域の家屋-「集溜」
物資が比較的ゆとりのある季節、この建物に住む商人は直接ドアを開けて店を開き、隣人と物々交換をすることがある。
ある時、やんちゃな子供がその時期に店に忍び込み、不思議な商人たちの「隠されしお宝」を探しに二階まで上がってしまったことがあるが、貨物が多すぎて足首を捻挫してしまい、大泣きした挙句に誰にも気づいてもらえなかった。幸い、異色の瞳を持つ「ガーディアン」の勘は鋭く、日の出までに失踪した子供を見つけられた。もちろん子供は家族に厳しく叱られたが、その後の異色の瞳を持つ「ガーディアン」による親切な教えのほうが、教育的効果は著しかったらしい。商人たちが二階に保存している貨物の詳細を教えられた子供は好奇心が満たされ、あまりにも現実離れした想像は次第に消えていった。こうして、みんなに迷惑をかける過ちを繰り返すような子供はいなくなったのである。
調度品・砂域の家屋-「符号の音」
このような駐屯形式はあまりにも辛いものであったのだが、天候変化の規則性が把握され、前代未聞の強さを持つ「ガーディアン」が着任したことにより、彼らはもう村から遠く離れた場所で見張りをする必要がなくなったのである。
調度品・砂域の家屋-「微睡み」
守衛たちにとって夜の砂漠は危険に満ちており、見張り期間中、休みの時間を適切に分ける必要があるため、相当疲れる。しかし、もし異色の瞳を持つ「ガーディアン」の助けがあれば、このような悩みは無くなるだろう…
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