バージョン2.8「常夏!幻夜?奇想曲!」の期間限定イベント「サマータイムオデッセイ」に関する考察。
期間:2022年7月15日 - 2020年8月24日
あらすじ
旅人はフィッシュル、モナ、万葉、辛炎と共に再び金リンゴ群島へ向かう。そこでは、想像を超えた幻境の世界が彼らを待ち受けていた。
情報
人物
テイワットを旅する旅人。フィッシュルに道案内役として呼ばれる。ファデュイの内部資料には「非常に危険な相手」と書かれている。
冒険者協会の調査員。本名はエミちゃん。ファンタジー小説『フィッシュル皇女物語』の主人公・断罪の皇女フィッシュルになりきっている。昔は両親も彼女の話に合わせていたが、成長するうちに親からも自身の幻想を否定されるようになった。クレーから金リンゴ群島を贈られ、皆を冒険に招待する。
モンド在住の天才占星術師。フィッシュルの友人。フィッシュルの設定では「幽夜浄土の宮廷の首席大魔道士メギストス卿」として登場する。水泳が得意で、子供の頃から泳ぎで負けたことはない。
璃月のロックミュージシャン。北斗が開催した「豪傑早飲み大会」の演奏を手伝い、それがきっかけで万葉と知り合った。その後、曲のインスピレーションを得るためにモンドまで旅をしてきた。
稲妻の浪人。辛炎と知り合い、彼女の旅に同行している。フィッシュルの設定では「幽夜浄土の宮廷守衛長」として登場し、一行の護衛を務める。
元々楓原家は名家だったが、彼の代には既に没落しきっており、家を捨てて流浪の身となった。目狩り令の発令後、御前試合に飛び込んで死んだ友人の神の目を強奪、幕府から指名手配される。この時、社奉行が彼の逃亡を援助した。その後は南十字船隊に拾われ、現在もそこに所属している。
モンド城の吟遊詩人。ディオナから酒場「キャッツテール」での演奏を依頼されたため、今回の冒険には参加しなかった。「キャッツテール」には猫がたくさんいるため、猫アレルギーのウェンティは屋上で歌っている。
西風騎士団の火花騎士。以前からフィッシュルの知り合いだった。ドドコの親友で、かつてドド大魔王と対決するために金リンゴ群島に赴いたことがある。
アリス
クレーの母親。テイワットを旅する魔女。休暇でモンドに戻り、娘と共に過ごしている。モナの師匠「おばば」とは因縁があるらしい。
西風騎士団の騎兵隊長。パイモンによると、モンドで奇想天外な発想といったらまずガイアが思い浮かぶらしい。
アカツキワイナリーのオーナー。「荘園に住む旅人の友達」「何とかを──下す」など婉曲的に言及されている(おそらく期間限定イベント「残像暗戦」への伏線)。
西風騎士団の錬金術師。前回金リンゴ群島を訪れた際、ボロボロ島の内部の空洞が水位によって音楽を奏でることに気づいた。
竹おじ
辛炎の記憶に登場した璃月港の住民。竹坊を世話している。
吉祥
辛炎の記憶に登場した璃月港の住民。辛炎の母から刺繍を教えてやるように頼まれた。
海おじ
辛炎の記憶に登場した璃月港の住民。道端で演奏する辛炎を罵倒した。
鍛冶屋さん
眼鏡をかけた鍛冶屋。しばらく病気で、自分の体が自分のものじゃないように感じていたが、ある日治って石を読む力を手に入れた。辛炎の前回の誕生日の時、香菱は彼の助けで翡翠の入った石を手に入れた。名前は言及されていないが、おそらく鍾離伝説任務第二幕に登場したクンジュだと思われる。
ペルシーコフ
ファデュイの研究員。「感知擬態」を開発し、その性能をテストしようとしている。
アガフィア(アガシャ)
ファデュイのミラーメイデン。ペルシコーフの部下。二人の兄はかつてスネージナヤに尽くした(おそらく死んだ)という。
エフカ
ファデュイ先遣隊の前鋒軍・雷ハンマー。父親から「敵に捕まり屈辱を味わうよりも、正義のために惜しむことなく死を選ぶ、一族のために誉れを選ぶべきだ」「敵に情報を渡すことは、裏切りである。我が一族に、生き永らえるために裏切る者はなし!」などと言われて厳しい思想教育を受けてきた。このせいで栄誉よりも家族を求めるヤコヴと大喧嘩することになる。
ザハール
ファデュイ先遣隊の重衛士・水銃。ペルシーコフの部下。病気で両親を亡くし、孤児として厳しい生活を送ってきた。食事が三食もらえると聞いてファデュイに入った。
ヤコヴ
ファデュイ先遣隊の遊撃兵・岩使い。ペルシーコフの部下。幼い頃に母親を亡くし、とある緊急任務で父親を失った。この時の栄誉が称えられ、記章をもらった。
御肉丸
喋る船。元々は赤穂百目鬼配下の海賊船で、浅瀬響によって越石村の名をとって「越石丸」と名付けられた。響がセイライ島の雷鳥の封印を解いたことから艦隊は吹き飛ばされ、越石丸は金リンゴ群島で真っ二つに折れた。「感知擬態」の影響でその船霊が旅人のウェーブボートに乗り移り、話すことができるようになった。当初は名前を忘れてしまっていたため、パイモンが「御肉丸」と名付けた。
灼火の心
辛炎の幻境に登場した巨大な喋る花。音楽の殿堂の門番。長いこと「寒山甘泉」を口にしていないので声が枯れている。
氷封の心
辛炎の幻境に登場した巨大な喋る花。灼火の心の仲間。彼女の花びらを取って旋律の交わる先に埋めると水脈が開通する。
「彼女」
群島の一切を見守っていた謎の存在。その正体はナヒーダだと思われる。
柴助
稲妻から来た妖狸。黄色の風呂敷を背負っている。プリン島でヒルチャールの檻に囚われていた。
豆助
稲妻から来た妖狸。紫色の風呂敷を背負っている。柴助と共にファデュイの船で遊んでいたところ、眠っているうちに群島まで来てしまった。
オズヴァルド・ラフナヴィネス
幽夜浄土の大書記官にして立派な騎士。夜鴉騎士の鎧を設計して支給した。
レオン
幽夜浄土の夜鴉騎士。実は本物の騎士ではなく、最近劇団で騎士役をもらった新人役者。役作りのために準備をしていた。
道を聞かれるのが好きなアーノルド
夜鴉。モナに惚れて『聖国の詠唱』の在処を教えた。
ジュリヤ
夜鴉。「あの頑固頭」と噴水前で会う約束をしたが、すっぽかされている。
赤穂百目鬼左衛門
セイライ島を守った偉大な海賊。昔、魔偶剣鬼と槍で戦い、これを奪って来たことがある。故郷を守るために幕府軍と戦い、絶望的な状況に追い込められたが、響が雷鳥の遺恨を呼び覚ましたことで紫の雷が放たれ、船ごと金リンゴ群島に吹き飛ばされた。その後は新しい船を作って旅立ったらしい。
楓原景春
万葉の父。息子が産まれて間もない頃に妻を亡くした。「万葉」という名を付けるのは妻の願いだったという。石の盆景を好み、本で読んだモンドの山を盆景とした。
用語
金リンゴ群島
未知の海域に位置する不思議な群島。元々は「霧海群島」と呼ばれていたが、アリスが「金リンゴ群島」と名付けた。過去に風神バルバトスがモンドの山を吹き飛ばし、その山体が島の一部となっている。この際、山に住んでいたリスの一族も一緒に群島までやって来た。
幻境
「感知擬態」が作り出した、人の心を反映する幻の世界。
万葉の幻境
プリン島の幻境。入り口は盆栽。「色彩の矢台」「流韻の御守り」などの仕掛けがある。
辛炎の幻境
ボロボロ島の幻境。入り口は鼓。「奏音の琴」「奏音のパネル」などの仕掛けがある。
フィッシュルの幻境
フタフタ島の幻境。入り口は『聖国の詠唱』。「幽邃な鴉の目」「幽闇ブロック」などの仕掛けがある。
モナの幻境
ハラハラ島の幻境。入り口は池。「星辰影灯」「星導装置」などの仕掛けがある。
感知擬態
ペルシーコフが開発したファデュイの装置。ある執行官がスメールで得た知識に基づき、とある神(草神)の権能を模している。人間の脳に影響を与えることが可能で、水中を泳ぐ鳥、空飛ぶリス、存在しない草花の香りなどの幻覚を引き起こした。意志の固い人はその心を移した幻境を生成することができるが、意志の弱い人は幻覚に耐えきれずに狂気に陥る。
ドド通話機
アリスが異世界にインスピレーションを得て発明した装置。見た目は爆弾だが、中身は抜いているので安全。何千キロ離れていても連絡を取り合うことができるという。使用には回数制限がある。
魔球ドドキャッスル
大口を開けた謎の装置。辛炎と万葉いわく、グゥオパァーに似ているという。アリスがモンド城外に設置したもので、その口から金リンゴ群島へ移動することができる。
盆栽
楓原家に代々伝わる磁器のお盆の盆栽。楓原義慶が残したもので、その底には「一心伝」断絶の真相が記した手紙が隠されていた。現在は天領奉行の倉庫にある。実物は枯れた植物が植わっていたが、幻境の中では万葉の後悔のない澄み切った心を表して何もないまっさらな状態になっている。
鮮やかな漂流物
金リンゴ群島に散らばる海洋生物の外殻。とある力(おそらく「感知擬態」)の影響を受けて本来の模様を失い、鮮やかな色に染まった。
余韻のホラガイ
金リンゴ群島に散らばるホラガイ。(おそらく「感知擬態」の)乱れた波長の影響を受け、周囲の音や映像を記録できるようになった。
雲家
千年の歴史を持つ鍛造の一族。
寒山甘泉
辛炎の幻境にある泉。その水を飲めば、大人も子供も小鳥も誰もが美しい歌を歌えるようになるという。泉をその目に映すには灼火の心の力が必要。鳥が美しい歌を歌えるようになる泉というのは、元々は辛炎の母親がついた嘘だった。
占星術
真実を顕現させることができる術。星象を研究して万物の運行規則を導き出す。占星術師は真実を検証し、世界の理を見届けるために存在している。
星
テイワットの星空は、この世の全ての答えを隠しているかのように霊妙なものである。全ての事実は個人の星屑の軌跡に記録される。しかし世界中の人々のうち、かなりの割合の人の星が軌道から逸れてしまう。軌道から逸れると、全てが良くない方に傾く。逆にその人の星が軌道上にあれば、それは健康や幸福、安寧を得ることを意味する。
イリデッセンスツアー
テイワット七国全域で開催される音楽祭。辛炎は主催側に連絡しようとしたが、情報が途絶えた。
『聖国の詠唱』
フィッシュルが書いた書籍。全三巻。幽夜浄土の聖典にして預言書であり、厳重に警備されている。数百年前、幽夜浄土が不吉な気配に覆われた時、皇女は国を治めることに興味を失ったかのように、何も行動を起こさなかった。ある日、大書記官オズが姿を現し、聖典と預言をもたらした。その預言は幽夜浄土の真の幸せを示している。
邪龍タスラク
皇女の宿敵。フィッシュルを否定し、その妄想に反対したもの全ての比喩。
演劇
幽夜浄土の非常に重要な文化。皇女殿下は「わたくしのために祭典を催し、荒野で劇を演じよ。わたくしにひれ伏し、永夜の栄光と引き換えに、純潔の幻夢を捧げなさい」という言葉を残しており、良き演出は皇女殿下への一番の恩返しとなると考えられている。
夜鴉
幽夜浄土の住人。自分が果たすべき役割を見つけるために生まれていたとされ、常に自らの運命の仕事を探している。
夜鴉航路
夜鴉が飛び交う風の航路。皇女の命令を受けて城へ行く際に、断崖の上にある城へ素早く辿り着くために開設された。航行ステーションを利用する際には、皇女が自ら署名した契約書「幽羽夜巡の契約」が必要となる。
「剣を持つ王女」
暮夜劇団の舞台劇。悪龍に三人の勇者が挑むが、撃退されてしまう。王女は忠実な侍従の助言を受けながら、見事悪龍を倒すことに成功する。
『聖国の詠唱』
「今の国民にその記憶はないが、学者は知っている。聖徒時代より約六百年前、混沌の時代に皇女殿下がこの世に現れたことを」
「彼女は生霊を憐れみ、彼らが苦しむ姿を見たくなかった。ゆえに夜の色と幻夢を抜き取り、万物を庇護する夜を最初に紡ぎ出したのだ」
「臣下は皇女殿下の力を崇め、彼女の呼びかけに従った。後に『幽夜浄土』と呼ばれる神聖なる国へと移り住んだのだ」
「我らは聖国を創り、皇女殿下を至高なる人と仰いだ。また詩歌や演劇、冒険などを国に持ち込み、幽夜浄土の輪郭を作り上げた」
「そして雨が止んだ時、皇女殿下は天の階段を降りられたのだ。臣下たちは、殿下が放つ最上の栄光を目にしたのである」
「大書記官、各領主たち、忠実な夜鴉騎士は塔に登り皇女殿下に忠誠を誓う。鮮やかな紫色のドレスに口づけすることを、この上ない栄誉であると思った」
「しかし、幽夜浄土は悪夢のように広がる暗雲に包まれた。邪龍タスラクが地下へと潜り、海底を渡って、王城の上を彷徨い始める」
「臣下は危殆を悟り、救世主に祈りを捧げる」
「皇女殿下は降臨したが、大戦による災いは王城にまで及んだ」
「だが、ついに彼女は聖裁の雷をもってして龍の鱗を貫く。龍の血による嵐の中、彼女は言葉を告げた…」
「…龍の血による嵐の中、彼女は言葉を告げた。『我が民に自由を与え、古き法則に囚われぬように』と」
「皇女殿下は再び歌い始める、『幽夜浄土』の聖歌を」
「臣下が彼女を拝んだ。すると、彼女は『わたくしのために祭典を催し、荒野で劇を演じよ。』」
「『わたくしにひれ伏し、永夜の栄光と引き換えに、純潔の幻夢を捧げなさい。』と告げた。」
「石を拾って、城と町を作り、山や海を拓いた」
「金碧に輝く我らが王国は、小さくも禁忌の楽土である」
その他
- フィッシュルの伝言には「大幻夢森羅万象の瞳」が登場したが、フィッシュルのエピソードPVにも似たような言葉が出てくる。なお、このPVでは「邪龍タスラク」にも言及されている。
- フィッシュルの台詞には「静寂の楽土と無類の敬慕を、そして時間と風を我に与えしとき、世界は蘇らん」という一節があるが、時間と風の関係性が言及さrているのは興味深い。
- 万葉の台詞「人事言わば筵敷け」は日本のことわざで、噂をすれば人がやって来るから筵(むしろ)を先に敷いておくべきだということ。「噂をすれば影」に近い意味だと思われる。
- 旅人とパイモンによると、ミントとスイートフラワーとファデュイの三つはどこにでも存在しているという。実際、ミントとスイートフラワーは淵下宮にすら生えている。
- 万葉の台詞「春の野に霞たなびきうら悲し この夕かげに鶯鳴くも」は『万葉集』の和歌で、大伴家持の作。
- 万葉の台詞「『この身は秋の葉の如く、遠き山海へ揺れる。』拙者はまだ旅の途中でござる。ただ、かつて自ら書いた詩を思い出しても、もうあの頃と同じ心境にはならぬ。」により、離島の掲示板に書かれていた詩「この身は秋の葉の如く、遠き山海へ揺れる。」が万葉の作であることが判明した。
- 御肉丸は写真機を見て「地獄絵」を連想していたが、五百蔵も同じことを言っていた。
テキスト
筆跡の綺麗な手記
本日、古書を探していたところ、偶然にも父の古い手記を見つけた。
きっと父は気にしないであろうと思い、中身を読んだが、やはり、そのほとんどが鍛冶の技術や鉱石の扱い方に関するものであった。
最後の方には盆景の設計図が描かれていた…この盆景に対する趣味も、代々伝わるものなのであろう。
拙者の息子も、今年で六つになる。妻の願い通り、「万葉」と名付けた。
……
妻が逝ってしまったのは、息子が生まれてまだ間もない頃であった。もう六年も経つのかと思うと…もしまだ妻がここにいたら、きっと庭で父の手伝いをしていたのであろう。
父は幼い頃はよい暮らしをしていたそうだが、年をとった今になって、生活の質が落ちてしまった。改善して差し上げられず、申し訳なく思っている。
だが父は己のことよりも、拙者たちのような若者の方が重要だと仰る。
(考察:万葉の幻境にあった文書。万葉の父、楓原景春が書いたものと思われる。)
一通の手紙
父・楓原景春様へ:
楓原家が崩壊してからと云うもの、拙者は荷物をまとめて生家を離れ、世界中を旅し、多くのことを学び候。
今日は海沿いの山を通り、父上が手記に描いておられた風景画を思い出し、感慨深い気持ちで御座候。
行楽は我が一族の伝統行事にはあらぬが、花を見たり、雲を眺めたりすることはもはや習慣…此れは、曽お祖父様の始めし事で候よし。
曽祖父様が最も愛されたのは小さな木を植える事で、強靭な木の枝を好んでおられたと父上から聞き候へども、お祖父様の趣味は石也。
幼少のみぎり、裏庭にはお祖父様の集めてきた珍しい石が多く在り、当時は宝物だらけと思ひ候へども、見識が広くなった今は確信致し居り候。あれらはお祖父様が刀の鍛冶場から持ち帰った、ただの砥石也。
あの折、拙者はその方面に殆ど知識が無く、あのどれもが宝なのだとばかり思ひ候ひぬ。
しかれども、生きる中で、それほどの数の宝が存在するわけもなく…
…拙者は山の日陰で休みつつ、この文を書き候。
この後、この文を燃やし、渓流の水で残り火を消したく存じ候。さすれば、この文もきっと父上の元に届くと願い候。
父上がいなくなってから、拙者は使用人を解雇し、一部の家具をも片づけ候。ふところは豊かとは言えぬが、生きるには十分也。
されども、我が家の盆景はままならぬ最後を送るもの也。曽祖父様が残した遺物以外の価値あるものはすべて、借金の弁済に当て候。
天領奉行に押収されたこともあったが…あるいは、拙者の手に残るよりも、蔵にあった方がよかったのであろうかと思ひ候。
ここに来るのも久方ぶりのこと…山々を吹き抜ける風は、父上が何年も前に初めて連れてきてくれたときと同じように、心地よいもので候。
また旅立つ時と相成り候。
これにて御免。
楓原万葉
(考察:万葉の幻境にあった手紙。万葉が亡き父に宛てて書いた手紙と思われる。)
黄ばんだ古いノート
今日、面白いことがありましたので、筆を執り書き留めようと思います──実は、若様がお酒に酔っ払いました。
そもそも、若様はまだお酒を飲める歳ではありません。おそらく、お父上の盃に入っていたお酒を普段飲んでいるものと勘違いしたのでしょう。
私は遠くから、中庭で武術の練習をしている影を見て、それを若様だと思いました。その予想は間違っていなかったのですが…ただ、酷く酔っ払っていたのです…
私に挨拶する姿は元気なものでした。顔を真っ赤にしていなければ、普段通りだと勘違いしていたでしょう。
夏の夜に酔うのは優雅とは言えません。しかし若様の年齢を考えると、黙って見ているわけにもいきません。
本当は最初、見て見ぬふりをしようかとも思いました。恥をかかせないために、遠回りして裏庭へ荷物を運ぼうと思ったほどです。
抱えていた仕事を終えてから様子を見に行くと、若様は酔い潰れて階段のそばで横になっていました…いつもは大人っぽい若様がこんな一面を見せるなんて、本当に珍しいことがあったものです。
私はもう一人の使用人と一緒にそっと若様を部屋まで運ぶと、お茶とお菓子を用意しました。すると、若様の口から父と母のことを呼ぶ声が微かに二回聞こえてきました。目を閉じてはいましたが、あのように幸せそうな顔をしていたのは、かつての幸福な出来事を夢で見ていたからなのでしょう。
親愛なる若様、あなたはまだお若い。これから先、お酒を飲む機会はきっとたくさんありますよ。
(考察:万葉の幻境にあった文書。万葉に仕えていた使用人が書いたものと思われる。)
古びたノート
(古びたノートには、綺麗な字でこう書いてあった…)
これを見つける人がいるかどうかは分からないが…
ジャジャーン!おめでとう!君はここで遺書を発見した!
おっと、これってめでたいことでもないか。でも、誰かに読まれることがあるならオレは嬉しいし、おめでとうって言われたのはオレのほうだってことにしよう。
とにかく、簡潔にこの状況をまとめれば、オレはこの島で冒険していたんだが、この部屋に閉じ込められたんだ。そんで、外に出る方法が見つからない。
食糧もなくなったし、方策は尽きた。もうおしまいだ。
こんなときには、モンドにいるかわいい恋人、リンダちゃんのことを思い出しちゃうぜ…なんちゃって。ちくしょう、恋人がいたら冒険者なんかになるかよっての。
思い出したのは、出発前におばが言っていた言葉だ。子供の頃から病気がちで働けない上に、頭もよくなくて、騙されやすい…冒険者になったら、いつかどこかで行き倒れて、二度と戻らないかもしれないって。
あのときオレは腹が立ったが、今思い出せば、あの時おばは鼻にかかったような声だった。きっと涙をこらえて言ったんだろう…まあ、前の日に風邪をひいたせいかもしれないけどな、ハハハ。
…冒険者になることを今さら後悔しても、もう遅いよな。
最初は冒険に憧れて旅に出たけど、何年もの間、オレは壮大な景色なんか見たこともなかったし、稼げたモラは生活をぎりぎり維持できる程度のもんだった。
何というか、冒険者になってから初めて気づいたんだよな──冒険者の本当の生活は、一般人だった頃に想像してたような刺激に溢れる華やかな生活とはまるで違うってことにさ。
「この世で生きていくのに、近道なんてない。どんな人だろうと、人には言わない苦痛を抱えてるんだ。」
後悔って言えば…後悔したって無駄だよな。どんな人生を選ぼうと、それに応じる苦痛はあるもんだ。その苦痛があって、それぞれの幸せを手に入れられる。
今のオレも幸せだって言えるんだ…いや、寒い。そんなに幸せじゃない。
あ…ダメだ、意識も遠くなり始めた…うぅ、モンドの鳥肉のスイートフラワー漬け焼きを食べたいな、せめて、鳥肉のスイートフラワー漬け焼きを一つ食べさせてくれよ…
ウォルフガング
(考察:モナの幻境にある文書。モンドの冒険者ウォルフガングの遺書。)
古びたノート
(古びたノートには、綺麗な字でこう書いてあった…)
やれやれ、この島は本当に危険だな…まさか適当に部屋に入っただけで、密室に閉じ込められる危険があるなんて。
このノートを読んでいる君、そう、君のことだ。君も密室に閉じ込められて、悩んでいるところだろう?
でも、君の頼もしい冒険者先輩のオレは、壁に刻まれたヒントを見つけたんだ!どんな親切な人が残してくれたのかは分からないが、それは確かにこの密室から逃げ出す方法のようだ。
オレの綿密な分析によれば、あれは「炬火をある順番で灯す」って意味だ…
オレは何度か試して、ついに成功した。だから、オレは急いで、この密室に閉じ込められる次の冒険者──これを読んでいる君に、この密室を解く方法を残している。
どうだ?もし成功したら、オレへの感謝も忘れるなよ。
普通の冒険者は、オレのように壁にある刻まれた痕を見つけられるほど、細心の注意を払ってないだろうからな。
この島に隠されている秘密はまだまだたくさんあるようだ。
オレは先に、山の上の遺跡に進むぞ!
ウォルフガング
(考察:モナの幻境にある文書。旅人が壁にヒントを刻んだことで、幻境がそれに合わせて文書を生成した。)
古びたノート
(古びたノートには、綺麗な字でこう書いてあった…)
これを見つける人がいるかどうかは分からないが…
残念ながら、これは遺書なのだ!
…とにかく、オレはこの島で冒険していたんだが、この部屋に閉じ込められた。この島、人を閉じ込める部屋が多くないか?オレの知恵なら、前回の密室を解いたときと同じように、この部屋も簡単に解けると思ったが…やっぱり無理だったよ。
よく考えてみれば、前回はメッセージがあったからこそ装置を解くことができた。これってオレの知恵とはあんまり関係ないよな。どうやら、オレは本当に冒険者に向いていないみたいだ…
食糧もなくなったし、方策は尽きた。もうおしまいだ。
こんな時には、モンドの白黒の猫ちゃん、ベラのことを思い出す…ベラ、レストランに行くたびに、君はいつもオレの皿を踏んできたよな。オレはもうレストランに行けないけど、君は寂しく思ってくれるかい…
「あたしに皿をいつも踏まれてるあの人間、もう長い間見てないにゃ…」
そんなことを思ったりしてな、ベラ?…まあ、ないだろうけど、ハハ。
レストランと言えば、最後にレストランに行った時、鳥肉のスイートフラワー漬け焼きを食べた。
モンドの鳥肉のスイートフラワー漬け焼きは、世界一の美味い。──沢山の場所で、沢山の料理を食べたオレがそう言ってるんだ。
そんなことを考えてたら、腹まで歌を歌い始めちゃったよ。ああ、鳥肉のスイートフラワー漬け焼きが食べたいなあ…一口でいいから…
ウォルフガング
(考察:モナの幻境にある文書。旅人が干渉したことで、幻境がそれに合わせて文書を生成した。)
古びたノート
(古びたノートには、綺麗な字でこう書いてあった…)
ドアの前にノートが置いてあるのはおかしいよな。ハハ、でもこのほうが目立つだろう?
君もノートをめくりながらドアの後ろの部屋に入らないことを願っているよ。もう手遅れかい?だったらもう救いようがない。
もしまだ入っていないのなら、絶対入っちゃだめだぞ、その中は密室の罠だ!
入り口に刻まれた痕を見たかい?あれは冒険者の先輩が残してくれた記号で、オレが見るのは二回目になる。筆跡から見て、あれを刻んだのは同じ人だろう…
その人に会ったことはないが、もう二回もその先輩に助けられてるんだ。
本当にありがとうな、残してくれた先輩!
あ、でもたとえ密室に入ってしまおうと、賢いオレならきっとそこから無事に出られるだろう。だが、「真に頭のいい冒険者は、自分を本当の危険に身をさらさない」と言うからさ…
やっぱり試すのはやめようかなって。
どうだ?刻まれているものには気づかなかっただろうが、オレのノートに救われただろ?ちゃんと心の中でオレに感謝してくれよな!
へへ、これからオレは高所にある遺跡に行って、この海域を見渡すんだ…きっといい眺めだろうな。もし見ることができたら、友達に自慢しなくちゃ。
ウォルフガング
(考察:モナの幻境にある文書。旅人が壁にヒントを刻んだことで、幻境がそれに合わせて文書を生成した。)
刻まれた痕
「風が強いから、ノートは使わないでおく。」
「ここの朝日は実に美しい。数々の困難を乗り越えて、辿り着いた甲斐があったというものだ。」
「いつか、オレの他にもこの景色を見に来るやつがいるんだろうか。」
「…これほどの困難を乗り越えたんだ。次はドラゴンスパインに行くぞ!」
「ここは本当に最高だ。だが、今ここに鳥肉のスイートフラワー漬け焼きがないのが残念でしかたない…」
「ウォルフガングより」
(考察:モナの幻境の遺跡に刻まれた文書。)
残された記録・一
まさか予備のパーツで組み立てられた設備にも、こんな強力な機能が備わってるとは。
上の指示通り、これを処理しようと思う。
洗浄した後、浅瀬へ捨てれば大丈夫だ。
砂に埋もれると、こいつのエネルギーは急速に減衰する。
周囲にはしばらく影響を与えるが…やがて動作も止まるはずだ。特に問題を起こしたりはしないろう。
……
(考察:ファデュイの拠点に残されたメモ。)
残された記録・二
上からの警告は確かに一理ある。
あの設備はオレの頭から情報を抽出し、それを合成して記憶を作り出すことができる。
現象だけ見ると確かに面白いが、あの訓練の苦しみは二度と味わいたくない。
あと三日観察して、雲行きが怪しくなったら撤退しようと思う。
他の人がここに来たら、果たして何を見るだろうか…
……
(考察:ファデュイの拠点に残されたメモ。)
残された記録・三
この記録はどういうことだ?
おれはこんなものを書いた覚えはないぞ?
この辺りにいると頭がズキズキする。おかしい…何かの影響を受けているのか。
とても恐ろしい夢を見た。あまりに衝撃的で、最近の出来事を忘れてしまった。
念のため、この記録をすべて削除し、早々に撤退しよう。
いや、記録を削除するのなら、もともと書く必要だってなかったじゃないか…
……
(考察:ファデュイの拠点に残されたメモ。パイモンはこのファデュイの兵士を無責任と評し、「まぬけ逃走兵」というあだ名を付けた。)
一枚の紙切れ
ありがとう。僕を助けてくれたって、仲間から聞いたんだ。いつか敵じゃなくて、肩を並べて戦うことがあったら、きっといい戦友になれるだろうね。
──ヤコヴ
私が教えた情報を得る方法が、役に立つといいんだけどな。そういえば、あれって私の言った中で唯一の使える情報だったのかも!
──アガフィア
「真の男かどうかは、戦場に行けば分かる」…そう父に教えられた。次は堂々と戦おう!負けたとしても、文句は言うなよ。
──エフカ
この四つのリンゴは、お前らにやるよ。
──ザハール
(考察:ファデュイの拠点にある文書。旅人が助けた四人のファデュイからの言葉が記されている。)
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