無垢な海の苦杯
伝説によると、最初の僭主が原始の海に来た時、水国の先主は彼に一杯の水を与えたという。その後、彼は独断の神王となり、その水から不思議なイコルを精製し、強くて輝かしい帝国を築いた。
それはもう遥か昔の物語、その主人公は今、深海の魚の群れが発する燐光の中で眠っている。
無垢な海の酒盃
どのような帝国が千年にも続けられるだろう?龍の国から帰ってきた後、僭主はそう考えた。
不朽なる石と、原始の水から抽出されたイコルを組み合わせ、黒い鉄のように固い種族を作り上げた──魔法の石を皮膚に、イコルを血に。それから、野蛮に戻る呪いを恐れることはもうない…
沈黙する魔像は、未だに素晴らしい帝国の夢を見ている──いつの間にか、帝国の滅亡から千年も経ったのだが。
無垢な海の金盃
沈んだ都の僭主が黄金楽章の最後の一曲を奏でた時、王に寵愛される楽師はイコルがたっぷり入った金盃を盗んだ。神王の愚かな裏切りに驚き、楽師は最後の衛兵を招集し、溶けないイコルで悪龍を高塔の下に封印した後、王国と共に海底に沈んだ。
その後、この尊い盗賊の姿は歴史から静かに消えていき、「金色の劇団」のみが、彼の予言を忠実に覚えている。
純聖な雫の昇華
「原始の海から生まれた生き物は、必ず同じ運命に帰るでしょう。」調律師のボエティウスはかつてこう語った。「しかし、何かを越えていく人間には無限の可能性が秘めていて、たとえ原始の胎海でも、それを全部溶かすことはできません…」
傲慢な僭主はかつて、民に肉体を捨て、独立した永遠の命を手に入れてもらうよう、知恵と記憶を保存する、純水に溶けないイコルを作ろうとした。
だが、精神と肉体の転換による苦しみは、凡人には耐えられるものではなかった。僭主の命令はボロボロの魂を引き裂いた…
多くの魂の慟哭により、イコルは黒く染められ、調和を失った精神には、混乱と狂気だけが残されていた。
純聖な雫の精髄
濃厚で純粋な液体は、はてしない原始の海の水滴から精製されたもの。古代の神王は、それが永遠の命と無限の知恵をもたらすと信じていた。しかし、耳を傾けてみると──それは「一つに溶け合う終末」を囁いている。
これはかつて神王が完成しなかった偉大なる楽章──どこからともなく生まれた黄金のイコルは、荒れ果てた原始の水に取って代わり、不死の智者の輝かしい秩序は、甘露のような啓示を隅々まで届ける。
しかし、神王の妄想はやがて深い海に沈み、黄金のイコルも残酷な時間と共に原始の汁に侵蝕された…
調律師は凶兆を無視し、ボロボロな体を支えながらも、過去の秩序を再現するため、最後のイコルで同胞に命を与えようとしていた…
今のフォンテーヌにおいて、狂気に落ちた多くの詩人や若き画家の悪夢の中で、ボエティウスが経験していた世の終わりの光景は、逃げられない輪廻の存在を告げるように、今もまた現れ続けている。
初露の源
モルテ地区の水中に漂う透き通ったしずく。これらのしずくは、一般的な純水でできたものとは異なり、より原始的で純粋な元素エネルギーを秘めているようだ。
古代フォンテーヌの自然哲学者たちは、このような造物について記録を残してこなかった。だが、約四百年前になってようやく、フォンテーヌ科学院のエンジニアたちが断続的に研究を始めた。一部の学者はこれら極めて純粋な「イコル」は、フォンテーヌを離れる前のエゲリアが、この地に残した最後の贈り物であったと信じている。しかし、この主張を裏付ける確たる証拠は今のところない。
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