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稲妻の歴史。

歴史

白夜国(? - 2000年前)

暗黒の年代
遥か昔、第二の玉座が降臨し、天地を揺るがす大戦が勃発した。当時の統一された文明は災難に見舞われ、その一部は海淵へと崩落した。地下に囚われた人々は、暗闇の中で深海ヴィシャップと戦った。彼らは千灯儀式を執り行ったが、ヴィシャップは闇に潜んで人間を狩り続けた。人間だけでなくウシ、ウマ、イノシシなどの動物も海淵に落ちたが、環境の変化と食物の不足によって二世代のうちに絶滅した。
人々は天に祈りを捧げたが、原初のあの方と三つの光る影は応えなかった。時の神イスタロト(常世大神)だけが彼らに救いの手をもたらした。賢者アブラクサス(阿倍良久)はイスタロトの啓示を受け、手中から光を放つ奇跡を見せた。海淵の民は彼を首領として太陽の車ヘリオス(大日御輿)を建造した。
日月の年号
ヘリオスの建造によって海淵に白夜が訪れた。深海ヴィシャップは光を恐れて退却し、人々はついに平和を手に入れた。それまで常世国と呼ばれていた海淵の文明は、これを機に白夜国へ改称された。
日月の二年目、人々は地上への帰還を望んだが禁令によって阻まれた。
やがて人々は大日御輿を崇拝するようになり、パエトーン(太陽の子)を神聖な君主として戴くようになった。貴族たちは太陽の子を傀儡として圧政を敷いた。
アブラクサスは大日御輿崇拝に反対していた。初代パエトーンは彼の才能に嫉妬し、問答のために呼び出して捕え、死ぬまで大日御輿に監禁した。死後、その功績を讃えて遺体と衣服が各地に奉納されたが、そのせいで彼の魂は散り散りとなった。
白夜国の時代には三界の塔が建てられ、三角崇拝が始まった。これらの塔は白夜国の風と水の力を制御していた。
スパルタクスの乱
スパルタクス(須婆達之彦)は抵抗軍を結成して貴族の圧政に立ち向かったが、捕えられて両目をくり抜かれ、デルポイの祭壇に監禁された。
アドニスは抵抗軍の再興を図り、龍骨花の露玉を売って資金を集めた。だが金が増えるにつれて戦闘を忌避する者が現れ、抵抗軍は瓦解してしまった。
オロバシの到来
白夜国のある少年が仲間と賭けをした。彼は一人で白夜国の外へ向かい、深海ヴィシャップを避けて龍骨花を手に入れようとした。洞窟の中で少年は巨大な蛇と遭遇した。その蛇こそ魔神オロバシであった。オロバシは魔神戦争で敗北し、闇の外海に逃げ込んで珊瑚の枝を与えられた。そのまま海淵に迷い込み、白夜国を発見したのだった。オロバシは少年に望みを尋ね、彼は白夜国の神となるよう願った。オロバシは承諾し、太陽の子の王権を打倒した。オロバシの第一の眷属である海祇の御使い一族は深海ヴィシャップと戦った。
海祇年号
オロバシは『日月前事』を読み、第一と第二の玉座が天外から降臨した外来者であることを知った。天空の島はオロバシを断罪し、死刑を言い渡した。
オロバシは古海祇語の名称を廃し、稲妻式の名前に変更するよう命じた。聖土化を防ぐため、ヴィシャップ研究所では深海ヴィシャップに血枝珊瑚を移植する研究が行われた。

鶴観

ある時、空から不思議な物体が降ってきて、霧海で鶴観を覆い隠した。人々は雷鳥の羽根を拾い、羽根を鳴らす音で互いの位置を知らせるようになった。雷鳥の信仰を中心とする新たな文明が誕生し、雷鳥に生贄を捧げるようになった。
雷鳥は少年ルーの歌声に惹かれ、彼の前に降り立った。ルーは雷鳥をカンナ・カパッチリと名付け、また歌を歌ってあげると約束した。だが祭司マタは先祖の教えに従い、雷鳥に愛されたルーを生贄として捧げた。雷鳥は約束が破られたことを怒り、雷によって鶴観を滅ぼした。

魔神戦争(? - 2000年前)

稲妻の成立
バアル(雷電眞)とバアルゼブル(雷電影)は双生の魔神だった。彼女たちは力を合わせて魔神戦争に勝利し、バアルが幕府を設立した後、バアルゼブルはバアルの御側として影武者となった。
初代天領奉行は、己が手に握った刀を用いて彼の意志を証明した。それゆえに天領奉行の座は九条家に与えられた。
雷鳥の討伐
鶴見を滅ぼした雷鳥はセイライ島に移住したが、「世を騒がす魔獣」として雷電影の手で討伐された。雷鳥の遺した怨恨を鎮めるために浅瀬神社が創建された。
珊瑚宮の東征
オロバシは自らの体に生えていた珊瑚の枝を折り、海祇島を創造した。白夜国の民はこの島へ移住し、珊瑚宮を中心とする社会を形成した。白夜国は淵下宮と呼ばれるようになった。最初の現人神の巫女は真珠の採集を生業とする海女の中から選ばれたとも、真珠から生み出された一脈だとも言われている。
海祇島は珊瑚から作られたため、農業に向く土地ではなかった。飢饉に見舞われた人々は肥沃な東の島々を求めた。オロバシは躊躇ったが彼らの願いを聞き入れ、軍隊を編成してヤシオリ島を侵略した。
幕府軍は彼らを迎撃したが、天狗の笹百合がこの戦いで戦死した。ついに雷電影が直接出向いて「無想の一太刀」でオロバシを切り伏せ、「無想刃狭間」を形成した。ヤシオリ島は苛烈な戦争で廃墟と化した。神を失った珊瑚宮は降伏し、稲妻幕府を宗主として認めた。
曚雲姉妹
右名氏は、最初にオロバシに従って再び太陽を目にした大族の一つであった。右名氏出身の曚雲は幼い頃に珊瑚宮に入り、現人神の巫女の下で様々なことを学んだ。曚雲の双子の妹・菖蒲は氏族の海女だった。
オロバシが東征を決意した時、現人神の巫女は曚雲姉妹に水軍を率いるよう命じた。曚雲は海に潜り、三晩の後に盲目の巨鯨・大検校を連れて戻ってきた。彼女たちはヤシオリ島で幕府軍と戦った。菖蒲は「海御前」として名を馳せ、鳴神の水軍を畏怖させた。
オロバシの戦死を聞いた曚雲は退却する途中、笹百合の部下の待ち伏せを受けて大検校と共に戦死した。彼女の遺体は幕府軍に奪われた。
菖蒲は奮戦の末、赤く染まった海に消えて行方不明となった。姉の遺体を取り戻すために単身で敵陣に乗り込み、奮戦の末に命を落としたとか、世界の端の闇の外海へと出港したとか、様々な説が残された。
「東王」
その少年の出自は不明だったが、オロバシは彼を受け入れた。曚雲姉妹が彼を育てた。彼は曚雲と共に月明かりの下で泳ぎ、「月曚雲」と「夕潮」の剣術を悟った。彼が扱う剣術はこの二つだけだったが、戦場でも試合でも負け知らずだったという。
遠征前、彼は神社脇の水に映る月に願いを託した。いつの日か影向山の頂上に立って、雷神の城を見下ろすこと。天守閣の上で伝説の大天狗と決闘をして、その天狗の面を曚雲姉妹にお土産として持ち帰ること。
東征が始まると、少年は真っ先に東山(ヤシオリ島)に乗り込んで攻め落とした。その功績を讃え、オロバシが彼に「東山王」あるいは「東王」の封号を授けた。彼は天狗の笹百合と壮絶な決闘を果たし、最期はオロバシと共に雷神の「無想の一太刀」に斬り伏せられた。
ヤシオリ島の住民は彼を大蛇の凶悪な手下と見なし、「惡王」という蔑称で呼ぶようになった。彼は恋する曚雲と結ばれることなく、跡継ぎを残すこともなかったが、「月曚雲」と「夕潮」は海祇の武人たちに代々受け継がれた。

鬼族の誓い(時期不明:魔神戦争の頃?)

遠い昔、稲妻がまだ危険に溢れる地だった頃。雷電将軍の庇護を得るには人間と仲良くする必要があったが、鬼族は誇り高く、他人の情けを乞うことが容易にできない。そこで、鬼族は人間と仲良くする赤鬼と、頑固で保守的な青鬼に分かれた。二つの種族に違いはなく、ただ立場の違いを表すために角に異なる色を塗っていた。当時の人間は鬼族を警戒していた。赤鬼は歩み寄ろうとしたが、青鬼はよく人間と揉めた。この時、赤鬼と青鬼の人望厚い二人の頭領が立ち上がり、「青鬼が悪を演じ、赤鬼が人間の社会に溶け込むことを手助けする」ことを酒で誓った。その代わり、青鬼の頭領は二つの条件を出した。
一つ、鬼族は人間に対する固定概念を捨てること。二つ、赤鬼は人間に馴染むこと、しかし人間に媚びを売ってはならない。
その後、自らを犠牲にすることを選んだ青鬼たちは、数がどんどん減り、最後には絶滅したとされていた。だが、実は青鬼一族は生き残っていた。青鬼は生まれた時から自己犠牲の運命を頭に叩き込まれる。一族は自ら世間との関わりを絶ったため、決まった居住地もなければ、安定した食糧も確保できない状態だった。

漆黒の災い(500年前)

カーンルイアの災厄
500年前、カーンルイアの災厄が発生した。大地は漆黒の霧に包まれ、魔物が稲妻の地に蔓延った。この災厄によって無数の命が奪われ、ほとんどの家が瓦礫と化した。数多の妖怪と人間が共に戦った。
雷神の代替わり
眞は影に黙って一人でカーンルイアに向かった。影がカーンルイアに到達した時には既に凄惨な戦いは終わり、眞は瀕死の状態だった。影は彼女の意識空間に入って最後の別れをした。影は「失ったもの」がもたらす苦痛を直視することができず、永遠の理念を追求することを決心した。その決意を示すため、影は眞の崩壊しそうな意識空間を稲妻へと持ち帰り、影向山の洞窟に封じた。帰還した影は神櫻の力を借りて災いを鎮めた。
眞の死後、影が将軍の地位と刀「夢想の一心」を継承した。雷神が代替わりしたことは公表されず、稲妻の民ですら滅多に知らなかった。影は摩耗に対抗するために人形の製作を開始し、カーンルイアの失われた技術を使って原型の人形を作った。人形は神の心の容器となるはずだったが、それは器物としても人間としても余りにも脆かった。当初の計画ではそれを直ちに破棄する予定だったが、影はそれを残酷と思い、その体内にある力のみ封印して「借景ノ館」に安置した。
その後、影は自身の神の体を改造して人形の雷電将軍を作り、自らの精神を「夢想の一心」に宿し、一心浄土の中で永遠の瞑想に入った。置いておく場所のない神の心は八重神子に渡された。
狐斎宮
狐斎宮は白辰の血筋の妖狐で、眷属たちと共に鳴神の野原と山々を駆け回っていた。八重神子がまだ生まれていなかった頃、彼女は白辰の野を離れて鳴神大社の宮司となった。彼女は多くの妖怪や人間たちと交流があった。彼女は千代と一緒に御前で舞を披露した。彼女は霊善坊と速さを競ったが、手加減されて勝った。彼女は策略を用いて五百蔵が将軍に仕えるように仕向けた。彼女は柊弘嗣に法器を渡し、彼はそれをレンズとして異国の技術で写真機を作り、友情の証として鳴神大社に返した。
有楽斎は狐族の名士として知られ、斎宮もその文章と茶の知識には一目置いていた。だが大罪を犯して斎宮の怒りを買い、罪を償うために自らこの地を去った。災厄に備えるため、狐斎宮は鳴神大社から天守閣に移った。漆黒の禍が訪れた時、彼女は人々を荒海の地下宮殿に避難させた。彼女はまた影に稲妻を全力で守ると約束し、影をカーンルイアに送り出した。
漆黒の災厄との戦いで力を使い果たした狐斎宮は暗闇に呑み込まれ、鳴神島の大地へと還った。彼女が去ってから、狐の血筋と霊性が三分の一となった。彼女の使者であった天狐と地狐は斎宮の帰還を待ち望んで石像と化した。
五百蔵
五百蔵は若い頃に稲妻の十八ヶ所の旧跡を訪ね、狐の進むべき道を貫いたことで大妖狸になった。彼は狐斎宮の策略にかかって雷神に降伏し、鎮守の森を守る「保生司生」の職を得た。
漆黒の災いが発生した時、狐斎宮は五百蔵が敵と戦って死ぬのではないかと心配し、「かくれんぼ」を申し込むことで彼を隠れさせた。その後、いつまで経っても狐斎宮が来ないことを不審に思った五百蔵は、天狐像を壊して中にあったクシを隠すことで彼女を誘き出そうとした。だがそのクシは神櫻大祓に使う鎮め物であり、惟神晴之介は鎮め物を盗んだ罰として五百蔵とその一族を石像に封印した。
虎千代
鬼族の御輿千代は影の友人で、勇猛な武人であった。彼女は減り続ける同族のため、戦鬼として不朽の功績を残したいと願っていた。
漆黒の災いの最中、彼女は虎のような魔獣に呑み込まれたが、魔獣の体を切り裂いて生き延びた。この出来事から「虎牙の千代」というあだ名が付けられ、後に「虎千代」として知られるようになった。だが彼女は魔獣に呑み込まれたことが原因で発狂し、影に牙を向けた。美しい容貌は漆黒の恨みによって捻じ曲がった。彼女は将軍の薙刀を牙で砕いたが、腕と角を切り落とされ、逃亡して行方不明となった。
浅瀬響と昆布丸
高嶺という少年が影向山を散策し、大天狗の霊善坊に出会った。二人は自分の肉体と将軍から賜った弓をそれぞれ賭け、三勝三敗で引き分けた。高嶺は天狗の小姓となり、「昆布丸」というあだ名を付けられたが、天狗の弓を得てその弓術を学んだ。その後、霊善坊によって幕府に推薦され、旗本になった。
セイライ島からやって来た浅瀬響は狐斎宮に師事し、神社の事務を勉強した。高嶺は響に弓術を教えた。やがて霊善坊には娘が生まれ、高嶺も旗本として武家の娘を娶ることになった。
海の向こうから災厄が訪れた時、高嶺は愛用の弓を賭け金として響に預けた。彼は名刀「霧切」を振るって漆黒の軍勢と戦ったが、刀が折れて漆黒の濃霧に呑まれた。折れた霧切の破片は回収され、「霧切の廻光」として打ち直された。災厄が終息した後、高嶺は響と再会する一念で深淵から帰還し、鳴神大社に現れた。だが彼は既に漆黒に侵されており、響は預けられた弓で彼を射殺するほかなかった。
惟神晴之介
晴之介は狐斎宮の死を深く悔やみ、邪悪を抑える力を渇望するようになった。彼は璃月を訪れて仙人の下で修行を重ね、自信が長年研究してきた「神通」と璃月の「仙法」を組み合わせて「陰陽術」を編み出した。
当時、五百蔵が狐斎宮を誘き出すために騒動を起こして鎮め物を盗んだ。晴之介は陰陽術を屈指して妖狸の一族を石像に封印した。彼はまた鎮め物を言霊呪法によって封印し、三名の式神を遣わして『神櫻大祓要略』を守らせた。
晴之介は式大将と訣籙陰陽寮を作って有志の武士を募り、拓本を武士に分け与えた。武士と式神が協力して外で戦い、その魔物の情報を持ち帰って訣籙陰陽寮内の「鏡の魔物」として再現した。訣籙陰陽寮は武人を育てる訓練場であった。武士たちの鍛錬には少しながら効果があると証明されたが、進歩はあまりにも遅かった。彼らが奮闘していた時、カーンルイアから帰ってきた影が強大な戦士たちを引き連れ、「無想の一太刀」を振るって災厄を根絶した。
目標は達成され、武士たちは訓練する必要がなくなったが、晴之介は失ったものに固執し、目的を見失いながらも訓練を続けようとしていた。式大将が彼を諭し、晴之介は自分の過ちに気付いた。彼は全ての武士を追い出して秘境を廃棄し、新たな意義を探しに行くと言ってここを去った。式大将は彼の帰りを待って深い眠りについた。
御伽大王
大手門荒瀧という名で知られる鬼族の武人がいた。彼は「御伽金剛獅子大王」を名乗り、ふらふら遊んでばかりいる傾奇者として知られていた。彼は赤角石塵滅砕を振り回し、いかなる妖狐や悪鬼も叩き伏せると豪語していた。ある時は幕府の歌会に乱入して千代に相撲を挑み、空高く放り投げられたという。一方で彼は風雅にも理解があり、演劇、玩具、衣装も好んでいた。戦に向かう時はいつも金の錦でできた秋草雲の縫箔を身に纏い、色鮮やかな模様を顔に塗った。
ある時、狐族の有楽斎は酔っ払った折に森の舞台にあった金漆の御簾を切り裂き、五百蔵の恨みを買った。大手門は有楽斎と一度しか面識がなかったが、この件の仲裁に入り、礼として名刀「御簾切」を贈られた。
ある祭典の相撲大会の後で、平民の裁縫職人の少女が彼の陣羽織から取れそうになっていた金色の花の飾りを再び縫い付けてやった。彼は報酬として「御簾切」を渡そうとし、断られると職人の鋏と交換するよう言った。
翌年、漆黒の災いが勃発し、海を渡って魔物たちがやって来た。大手門は子供たちに狐斎宮に従って身を隠すように言い、最後の戦いに挑んだ。戦後、あの仕立て屋は無数の命を救った神、狐、妖怪、鬼、人を祀るために錦の絵巻を作った。彼女は彼に名刀を返せなかったことを遺憾に思い、二本の刀を振るう彼の姿を縫い留めた。
岩蔵道啓
御輿千代は反逆者となり、刀の鐔だけが家に帰ってきた。家督を継ぐはずだった長子の道啓は城外に隠居し、影向山の林に入り浸った。天狗の少女・光代は彼の過去を聞き、「岩蔵」という新たな名を付けると、錆だらけの刀を渡して自分を斬ってみせよと言った。その後、道啓と光代は毎年真剣勝負を行うようになった。十三年目、道啓はついに天狗の神速に追いつき、秘剣「天狗抄」を完成させた。そのあまりの力に耐えきれずに刀が折れ、神社は壊れた。光代は影向の天狗一族を背負うため、自分のことを忘れるように言って去った。道啓は岩蔵流を開いて「道胤」の号を授かり、九条家の剣術指南役となった。
彼は当時の天目に依頼して胤の名と共に受け継ぐ刀「薄縁満光天目」を打ってもらった。道胤は紺田村に隠居中に世話になった礼として、柴門家にこの影打を贈呈した。
赤穂百目鬼の乱
狐斎宮が去った後、浅瀬響は故郷の浅瀬神社に帰って宮司を務めた。神社に住む猫の寝子は彼女によく懐いていた。
やがて、赤穂百目鬼左衛門というセイライ島の海賊が名を轟かせ、幕府軍と戦うことになった。彼が去る姿は高嶺とそっくりで、響は今度は彼を死なせないと決意した。絶望的な戦況の中、響は影向山で天狗から学んだ法術を使ってセイライ島の結界を解き、雷鳥の恨みの力を解放して幕府の軍船を破壊しようとした。しかし、雷鳥の恨みは予想以上に大きく、セイライ島は完全に破滅した。「越石丸」に乗船していた蛇目権兵衛たちは雷鳥が引き起こした嵐に吹き飛ばされ、金リンゴ群島へと漂着した。

傾奇者の遍歴(400年前)

たたら砂事件
御輿長正は千代の養子だったが、母は将軍に反逆し、嫡子の道啓は隠居して消えた。彼は幕府に入り、一族の汚名を濯ごうと努力した。
たたら砂の桂木が偶然「借景ノ館」を発見し、「原型の人形」をたたら砂に連れ帰った。人形は「傾奇者」と呼ばれ、たたら砂の人々と一緒に暮らした。
その後、フォンテーヌの機械職人エッシャーが現れて造兵司正・丹羽久秀に新技術をもたらした。この技術は晶化骨髄に含まれる「祟り神」を強化するものであり、労働者たちに多くの被害を出した。傾奇者は救援を求めて鳴神島に向かったが、既に影は一心浄土に入っており、人形の雷電将軍は謁見を拒否した。傾奇者は代わりに八重神子に助けを求めた。神子は救援を約束したが、痺れを切らした傾奇者はたたら砂に帰った。
この間、丹羽はエッシャーに対する疑念を明かしたが、彼に殺されてしまった。エッシャーの正体はファデュイ執行官「博士」だった。「博士」は丹羽の死体から心臓を取り出して浄化装置に組み込み、それを傾奇者に渡して炉心の中心部に送り込み、「祟り神」を吸収させた。傾奇者は丹羽の心臓のおかげで生き延びた。傾奇者が装置の中身を問うと、「博士」は丹羽が罪なき従者から奪った心臓だと嘘をついた。傾奇者は丹羽に裏切られたと思い込み、絶望してたたら砂を去った。
丹羽が死亡し、傾奇者が行方不明となった今、目付の御輿長正が咎めを受けるはずだった。だが彼に恩のある桂木は長正に自分を殺すよう言い、自ら責任を被って長正を救った。
神子は約束通り救援を送ったが、彼らは到着した頃には全てが終わっていた。
「子供」との邂逅
傾奇者はたたら砂を離れた後、孤児の「子供」と出会った。彼は自分と同じく名を持たない、見捨てられた存在だった「子供」に心を開き、共に暮らした。二人はずっと一緒にいる約束を交わしたが、「子供」はある日病死した。傾奇者は人類に失望し、神を憎んだ。
ファデュイの勧誘
「博士」から傾奇者の存在を聞いた「道化」は傾奇者をファデュイに勧誘し、傾奇者はそれを承諾した。彼は「博士」の数多くの実験を耐え抜き、やがて「散兵」スカラマシュの名を与えられた。

雷電影の治世

雷電五箇伝の没落(100年前)
ファデュイ執行官「散兵」の陰謀により、雷電五箇伝は次々に没落していった。一心伝の刀工たちは雷電将軍から鍛造命令を受けたが、「散兵」が鍛造図を偽造したために命令を遂行することができなかった。刀工たちは罰を恐れてスネージナヤへと逃亡した。「散兵」は一心伝の刀工・楓原義慶と出会うが、彼の顔はかつての丹羽とよく似ていた。問い質してみると、楓原義慶は丹羽の血を引いており、楓原家の養子となったという。裏切られた親友の末裔と対面し、「散兵」は興醒めしてしまった。こうして一心伝と天目流は守られた。
だが楓原義慶は「散兵」が再び一族に危害を加えるのではないかと心配し、一心伝の鍛造技術を封印した。神里家は管理不行き届きの罪に問われ、激しい動乱に見舞われた。
逃亡した刀工の一人、赤目兼長はスネージナヤで真相を知り、償いのために自らの最高傑作を稲妻に送ろうと思った。彼は命を削り、全ての英知と技を結集して名刀「籠釣瓶一心」を作り上げた。この名刀は祟り神を材料としているために独立した意志を持ち、人を操ることができた。彼は名刀に、必ずや稲妻へ帰るよう指示して死去した。名刀は数多の使い手の体を制御しながら、遥か遠い稲妻へと向かった。
勢至丸の物語
その昔、あるところに勢至丸という者がいた。彼は武家の出身だったが、両親がある仕事で奇妙な間違いを犯し、刑に処されてしまった。両親の死をどうしても受け入れられなかった勢至丸は、両親を処刑した武家の人間をやっとのことで探し当てた。勢至丸の両親を処刑した者はもう亡くなっており、その長男、かつての勢至丸の幼なじみが当主となっていた。勢至丸は手を下す直前、手まりと刀を取り出して選ばせた。長男は選択を誤り、勢至丸に追われて逃げ回っていたが、捕まる前に病死してしまった。その後、長男の弟たちが勢至丸に復讐しようとした。勢至丸は山に身を隠し、やがて消息を絶った。
勢至丸は岡崎陸斗の親戚である。
龍二事件(数年前)
数年前、九条孝行の陰謀によって奉行所の管理人・鷹司勇が殺された。孝行は同心の龍二に罪を着せようとしたが、九条裟羅は詮議待ちとして死罪を阻んだ。私立探偵の珊瑚が再調査を開始したため、孝行は真相が明らかになることを恐れて城山を自殺させ、自らに関する証拠を回収した。珊瑚は失職した龍二を助手として雇い入れた。
稲妻内戦(1年前 - )
1年前、雷電将軍は突如目狩り令を発令した。天領奉行は稲妻全域の神の目を徴収し始めた。神の目の持ち主の多くがこれに反発し、珊瑚宮の下で抵抗軍を結成、幕府軍との武力衝突を開始した。

年表

2000年前
  • 珊瑚宮の東征。雷神バアルゼブルが魔神オロバシを討伐する。
  • 魔神戦争が終結し、七神の時代が始まる。
500年前
  • 勘定奉行柊弘嗣が離島に貿易港を建設する。
  • カーンルイアの滅亡が漆黒の災いを引き起こす。
  • 雷神バアルが死亡し、双子の妹バアルゼブルが神の座を継承する。
400年前
  • 「博士」の計画によってたたら砂の炉心が暴走し、丹羽久秀が死亡。傾奇者がたたら砂を離れる。
100年前
  • 「散兵」の計画によって雷電五箇伝が没落する。一心伝の刀工が集団脱走し、神里家と楓原家が咎を受ける。
50年前
  • 今谷三郎が「長野原花火大会」にて香里に結婚を申し込む。
30年前
  • 「斬鬼金」松平金次郎が神無塚人斬り事件を起こす。
  • 手島が紺田村にやって来る。
3年前
  • シハブ・プルビルニが『珊瑚宮民間信仰に関する初調査』を著す。
1年前
  • 雷電将軍が目狩り令を発令。稲妻内戦が勃発する。
2ヶ月前
  • 旅人がパイモンと出会う。
現在
  • 旅人とパイモンが旅を始める。

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